絶賛不安定

不安定と一緒に、生きていく

2023年と2024年

今年も結局、年が明ける。

 

これまでも色々なことが身の回りに起きながら、起こしながら、

進み、止まり、後退し、進んできた。

 

2023年は大きな悲しみと、大きな喜びと、小さくない不安が生まれた一年だった。

 

かねてより、僕はイベント制作会社に勤めていた。

会社は悪く言えば、昭和の香りが残り、

長い労働時間と、短い睡眠時間との間に挟まれ、

日々、淡々と仕事をしていた。

 

社内では、社長に気に入られていたし、

給与もこの社会人経歴にしてみれば、

比較的多めにもらっている方だったと思う。

 

仕事は一人で回せるようにはなってきていて、

その反面、心は置き去りになっていった。

 

プロジェクトをとりまとめ、牽引していく役目だった。

クライアントと協力会社をまとめながら、イベントの実現に向けて、

話を進めていく役割だった。

 

けれどそれは、方々の事情論を聞いて、悩んで、突破口を模索していく、

とにかく調整に次ぐ、調整に明け暮れる、とてもつまらない仕事だった。

 

まだ経験も十分に得ていない自分には、「どうしたいか」は二の次で、

とにかく予定通りに物事を進めるのに一杯一杯だった。

自分はプロジェクトの舵取り役として「どうしたいか」を持たなければならなかった。

けれど、どうしたいかもなにも、どうでもよかった。

 

ある程度リズムを掴んできた自分と、

目の前のことに太刀打ちできない自分のはざまに立たされた僕は、

もう仕事がどうでもよくなった。

 

誰のために自分は頑張っているのか。

頭ではわかっている。もちろんクライアントのためだ。

でも、そのために頑張ってもやりがいはなく、

いつしか無事故で仕事を終えることだけを考えるようになり、

プラスアルファを考えたり、前向きに取り組むことは無くなったと思う。

 

結局、次は決まっていないながらも、

全てが嫌になり、退職することにした。

 

イベントを作ることはとても楽しいと思っていたけれど、

僕が社会人として最初に働いた場所はそうではなかった。

 

最後の方は、気持ちに余裕がなくなり、

周囲に(ときにはクライアントにも)当たるようになり、

勤め先を去ることにした。

 

この一連の流れはとても苦しく、

とても辛く、とても悲しかった。

 

 

そんな黒に近いグレーにまみれた毎日の中に、

一筋にして、とても強烈な希望が差し込んだ。

 

自分にパートナーができたのだ。

 

自身の初めての異性のパートナー。

 

自分と気が合ったり、本当に心を許すことができるような人など、

生涯でできることはないと思い、ほぼ諦めていた僕にとっては、

奇跡に近いようなことだった。

 

彼女は、前職の同僚だった。

自分が社会人2年目のころに中途で入ったきた彼女だ。

 

当時から、なにか自分の考え方や性格と合う人のような気がしていた。

 

気にはなっていたものの、本当に自分はこの人と付き合いたいのか確信を持つことができなかったから、何回も何回も心の中で確かめていた。

 

そうして、気持ちを伝えられないうちに、

他の同僚から、どうやら彼女が、他の同僚と付き合っているらしいとの噂を耳に入れた。

 

途端に、とても嫌な気持ちになり、焦燥感を覚えた。

と、同時に、自分はこの人なのだという確信も、

思わぬかたちで得ることができた。

 

まもなくして、彼女に思いを打ち明けた。

 

一度は(突然伝えたということもあり)保留になり、

僕の希望は途絶えたのだとため息をついたが、

ほどなくしてOKの返事をもらうことができた。

 

以降、彼女には毎日、支えてもらっている。

 

今までは、何事も一人で戦ってきた。

 

浪人生活での心細さや、周りに置いていかれる悲しさ。

満足いかない現状への悔しさ、憤り。

異性に好かれないことへのある種の諦めと切なさと寂しさ。

 

一人で生きていく強さこそが正義だと思ったので、

そのために心を常に攻撃的にしながら、

世界に存在してきた。

 

けれど、彼女は自分を受け入れてくれる。

 

自分を受け入れてくれるひとがいることは、

とても、なんというか、素晴らしいことだと思う。

 

彼女へのリスペクトの気持ちはずっと持ち続けたいし、

持ち続けるべきだと思う。

 

仕事を失うという小さくない代償を払った2023年だけれども、

それと引き換えに、かけがえのないものを得た2023年でもあった。

 

ここからは2024年の話。

 

現在も仕事がない状況が続いている。

 

毎日、心の平穏を保つのがとても難しい。

こんなにも自分は社会に必要とされないのかと、正直、驚きを隠せない。

 

前職でも、毎日一心不乱に、納得できないことも、

噛み殺して積み重ねてきた。苦しい思いをしても耐えてきた。

現実に、そこら辺の同年代には負けないくらいにやってきた自負はある。

のに、転職活動は「不採用」の三文字の応酬である。

 

僕は、まだ経験のしたことのない業種に行きたいと思っている。

 

それは当然で、こんな若干27歳が、

このまま一つの業界に居続けていいわけがないのだ。

変化し続けなければいけない。自分の引き出しを増やさなければいけない。

 

なのに、未経験なだけで社会からは不要とされる。

この社会はひとたび特定の職種に就いたら最後、

簡単には他に移ることができない。

 

1社目にブラック企業に就いたら尚のこと、

転職活動に充てる時間を確保するために、

一度会社を辞めなければならず、

しかも、その(一般的にいうと)空白の時間が、

会社の人間からすると、奇妙に見えるようで、

仲間として迎え入れてもらうことはない。

 

悔しくてたまらない。

 

怖くてたまらない。

 

無職の現状も大概だが、

この状況がいつまで続くのかわからないことが、

怖くて、不安で、毎日怯えている。

 

入れる会社に入ればいいと思う。

元々いた業界に戻ればいいと思う。

 

でも、それでは「引き出しを増やす」にはならないし、

ブラック体質の環境から脱することができない。

 

1発目を本当に間違えたなと思っている。

 

社会から仲間外れにされているこの状況は、

本当に苦しい。